大阪の本町で補助金の申請代行をしている行政書士が解説します。お酒の製造業者・販売業者にのみ支給される補助金となります。他にも持続化補助金や事業再構築補助金も活用できますが、お酒に特化した補助金のため、狙い目です。
フロンティア補助金の制度について
フロンティア補助金の事業概要について
新市場開拓支援事業は、酒類事業者が直面する国内需要の減少、酒類事業従事者の高齢化といった構造的課題や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により顕在化した課題への解決に向けて、国内外の新市場を開拓するなどの意欲的な取組を支援することにより、酒類業のポストコロナに向けた経営改革・構造転換を促すことを目的とします。
以下の4パターンの事業が基本的には対象となります。
商品の差別化による新たなニーズ獲得事業
マーケットインの考えを踏まえ、消費者のニーズを掘り起こすとともに、既存商品と差別化された酒類を開発することを目的とした事業
【取組みの例】
- 食品とのペアリングに特化した商品や、地方産品の特性を生かした商品
- 地元・活用した休耕田の収穫物を原材料とした商品
- 個人に対するオーダーメイド商品の開発体制の構築
- 新たな原材料等を使用し、これまでにない特性を持たせた高付加価値商品の開発
- 「伝統的酒造り」を差別化のポイントとした高付加価値商品の開発
販売手法の多様化による新たなニーズ獲得事業
販売の場面における新たな訴求力の創出を通じ、消費者の多様なニーズに応えるサービスを提供することを目的とした事業
【取組みの例】
- 商品情報の充実による販売促進(QRコード等を活用した取扱商品のブランドストーリーの提供や消費者が求める情報を記載した裏ラベルの活用等)
- テイスティング等の顧客体験を重視した販売形態の確立
- データ分析等を用いた、顧客の嗜好に合致した商品の販売手法の導入
ICT技術の活用による製造・流通の高度化・効率化事業
これまで専門家の経験等に依拠していた作業にICT技術を活用することによって専門家の技能とICT技術との相乗効果を創出する等、製造・流通の高度化・効率化を図る事業
【取組みの例】
- AI技術等を活用した品質管理システムの導入
- RFIDやAIカメラ等を活用した管理システムの導入
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により顕在化した課題への対応のための事業
【取組みの例】
- 特定の飲食店に取引が限定されている事業者が新たな販路を開拓するための取組
- 家飲み需要の伸長への対応
- 共同配送等による物流効率化等を通じた経費の削減
持続化補助金の補助対象者について
① 酒類の製造免許 or 販売業免許を受けていること(個人でも法人でもOK)
② 3~5年で給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる事業計画を策定していること
※給与支給総額とは、給与・賃金・賞与・役員報酬の合計金額であり、福利厚生費・法定福利費・退職金は含みません。
持続化補助金の補助上限と補助率について
小規模事業者
補助上限:500万円 補助率:2/3
※最大750万円の投資が実質250万円で実施可能になります。
※補助金額が50万円未満の場合は、申請の対象外になります。
※補助金額が400万円の場合は、下記のいずれか1つに該当する必要があります。
①直近2期の決算で、連続して売上が減少していること
②2020 年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019 年 or 2020 年1月~3月の同3か月と比較して減少していること
③2020 年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計課税移出数量が、2019 年 or 2020 年1月~3月の同3か月と比較して減少していること
※補助金額が500万円の場合は、下記に該当する必要があります。
3~5年で、売上額 or 付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画を策定していること
※小規模事業者の定義
卸売業・小売業 | 常時雇用する従業員数 5人以下 |
製造業その他 | 常時雇用する従業員数 20人以下 |
その他
補助上限:500万円 補助率:1/2
※最大500万円の投資が実質250万円で実施可能になります。
※補助金額が400万円の場合は、下記のいずれか1つに該当する必要があります。
①直近2期の決算で、連続して売上が減少していること
②2020 年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019 年 or 2020 年1月~3月の同3か月と比較して減少していること
③2020 年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計課税移出数量が、2019 年 or 2020 年1月~3月の同3か月と比較して減少していること
※補助金額が500万円の場合は、下記に該当する必要があります。
3~5年で、売上額 or 付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画を策定していること
フロンティア補助金の対象経費について
交付決定後から補助事業完了期限(令和6年2月29日(木))までに契約・納品・支払が完了した経費が対象となります。
税込10万円以上の場合は、相見積が基本的に必要です。
原則、銀行振込での支払が必要です。
機械装置・システム構築費
補助事業の遂行に必要な機械装置・情報システム等の購入・制作・構築・改良・据付に支払われる経費
施設整備費
補助事業の遂行に必要な新たな施設や設備等の購入・建設・改良・据付に支払われる経費
借損料
補助事業の遂行に必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
予算計上の注意点
以下の項目を必ず確認してから、計上しましょう。
- 補助事業の期間内に発生する経費が対象です。契約期間が補助対象期間を超える場合は按分等で算出された金額のみが対象です。
- 家賃は対象外です。
設計・デザイン費
補助事業の遂行に必要な試作品等の設計・デザイン・製造・改良・検査・実験を行うために支払われる経費
原材料等費
補助事業の遂行に必要な原材料・副資材(試作品開発に必要な備品・消耗品)等に支払われる経費
マーケティング調査費
補助事業の遂行に必要なニーズ調査等を行うための経費・調査員等に対して支払われる経費
予算計上の注意点
以下の項目を必ず確認してから、計上しましょう。
【テスト販売の要件】
- テスト販売に向けた準備期間と販売期間が、合わせておおむね半年以内となるもの。
- 同一の場所・サイト、同一の趣旨で複数回行わないもの(試作品の改良、販売予定価格の改定をした場合を除く。)。
- 消費者等に対してアンケート等の調査を行い、テスト販売の効果検証が可能なもの。
【テスト販売に該当するものの例】
- 展示会等のブース出展を通じたテスト販売
- 補助事業者が所有 or 自ら借り上げた販売スペースを活用したテスト販売
- ECサイト(クラウドファンディングを含む。)を活用したテスト販売
- 第三者への委託等を通じたテスト販売
通信運搬費
打合せ等のための郵送料・機器・機材等の運搬のために支払われる経費
会議費
事業を行うために必要な会議・講演会・シンポジウム等に支払われる経費(会場借料・機材借料等)
産業財産権等取得等費
事業に係る特許権・実用新案権・意匠権・商標権等の取得等に支払われる経費
雑役務費
補助事業の遂行に必要な業務・事務を補助するために臨時的に雇い入れた者のアルバイト代・交通費として支払われる経費
謝金(補助金額:100万円まで)
補助事業の遂行に必要な指導・助言等を受けるために依頼した専門家・委嘱した委員に謝礼として支払われる経費
旅費(補助金額:50万円まで)
補助事業の遂行に必要な情報収集や各種調査を行うため、会議や打合せ等に参加するため、販路開拓のための旅費として補助事業者・参画事業者・依頼した専門家・委嘱した委員に支払われる経費
広報費(補助金額:100万円まで)
補助事業の遂行に必要な広告(パンフレット・動画・写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展等に支払われる経費
予算計上の注意点
以下の項目を必ず確認してから、計上しましょう。
- 単なる会社のPRに関するものは対象外です。
- 作成するパンフレット等は補助事業期間中に配布したものが対象です。未配布分に相当する経費は対象外です。
- 制作物には、「令和5年度 国税庁新市場開拓支援事業費補助金」にて作成した旨を明記してください。
委託費(補助金額:250万円まで)
補助事業の遂行に必要な業務(自ら実行することが困難な業務に限る。)の一部を第三者に委託するために支払われる経費
フロンティア補助金の対象外の経費について
下記を必ずご確認ください。
ただし、あくまで一例ですので、公募要領を必ず確認してください。
- 書類(見積書・請求書・領収書等)を用意できないもの
- 交付決定前に発注・契約・購入・支払いをしたもの
- 販売を目的とした製品・商品等の製造に関する経費
- 補助金応募の際のコンサルティング費用
フロンティア補助金の流れについて
応募申請・交付申請→採択・交付決定→契約→納品・実施→支払→実績報告→補助金入金となります。
補助金は後払いなので、入金までの資金繰りが大切です。
フロンティア補助金の申請方法について
申請書類について
以下の書類が必要です。
- 補助事業申請書
- 補助事業計画書(別紙1-1) A4:15ページ以内
- 計画書(別紙1-2)
- 補助事業概要書(別紙2)
- 参画事業者等(別紙3)
- 経費明細表(別紙4-1)
- 経費一覧表(別紙4-2)
- 役員等名簿(別紙5)
- 事業実施に際しての確認票(別紙6)
- 直近2年間の決算書(貸借対照表・損益計算書)
- 売上の減少等が確認できる書類
【法人のみ】
- 法人事業概況説明書
【個人事業主のみ】
- 青色申告決算書 or 白色申告収支内訳書
【補助上限500万円を申請する場合のみ】
- 給与支給総額の引上げに関する誓約書(別紙7)
【パートナーシップ構築宣言を宣言している場合のみ】
- パートナーシップ構築宣言
【直近の財務状況が債務超過である場合のみ】
- 債務超過を解消する具体的な計画等
申請方法について
メール or 郵送
※各管轄の国税局が提出先になります。税務署ではございません。
申請〆切について
第1次
補助金申請書類の受付締切:令和5年9月1日(金)17時
採択発表予定:令和5年10月上旬
第2次
補助金申請書類の受付締切:令和5年10月13日(金)17時
採択発表予定:令和5年11月下旬
第1次で申請すると、不採択でも第2次の申請に間に合うので、第1次から狙っていきましょう。
フロンティア補助金の審査について
申請の際には下記を確認し、基礎審査は最低満たしていることを確認してください。
また、採択予定数は公表されていません。
基礎審査
- 必要な提出資料がすべて提出されていること
- 対象者・対象事業の要件に合致すること
- 補助事業を遂行するための必要な能力があること
書面審査
- 革新的な新製品の開発や新サービスの提供等を行う取組 or 先端ICT技術(AIやRFID等)を導入する取組であること
- 既存商品・サービス等に比べて優位性が見込まれること
- 他の酒類事業者のモデルとなる取組であること
- 自らの置かれている環境や現状について認識していること
- 活用しようとする技術等について、その可能性を把握するなど、自らの製品や販売・流通体制等について適切な現状分析がなされていること
- 本年度に達成すべき目標が明確に示されていること
- 事業内容が目的に照らして現実的かつ具体的であること
- 事業実施における課題、対応、時間軸が明確で、整合性が図られていること
- 必要経費は、事業内容に照らして妥当であること
- 事業を適切に遂行するための経営資源(技術力・経験・ノウハウ・資金調達力・人材等)を有していること
- 財務状況等が、適切な事業遂行に当たって問題がないこと
- 酒類を取り扱う事業者として、20歳未満の飲酒防止に向けた活動や適正飲酒の啓発について、積極的に取り組んでいること
- 費用対効果(補助金額に対して想定される売上・収益の規模感)が妥当であること
- 補助事業終了後の事業の自走に向けた計画・ビジョンが明確であり、その内容が妥当なものであること
政策加点審査
下記の加点をできるだけ、1つでも取れるかが重要です。
認定加点
いずれかの認定を受けている場合
- 経営強化法に基づく経営革新計画
- 経営強化法に基づく異分野連携新事業分野開拓計画
- 経営強化法に基づく経営力向上計画
- 中小企業地域資源活用促進法に基づく地域産業資源活用事業計画
- 農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画
パートナーシップ加点
パートナーシップ構築宣言ポータルサイトにて宣言をしている場合
コンテスト加点
「日本産酒類の発展・振興を考えるビジネスコンテスト」において、優秀賞を受賞しており、その優秀賞を受賞した事業を実施する場合
パートナーシップ加点がオススメです。
フロンティア補助金の申請は複雑です。
必要書類が正確であること、事業計画書が事務局が求めているものに近いこと、加点項目を取っていくこと、様々なハードルがあります。
1つでも欠けてしまうと、採択(合格)は厳しいです。
さらに、補助事業計画書は15ページ以内と定められているので、10~15ページが目安となってきます。持続化補助金は5ページ、事業再構築補助金は10ページなので、それらと比較しても書類が膨大な補助金となりますので、ご自身だけでの申請は難しいです。
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