過去最大級の補助金が事業再構築補助金です。行政への手続きのプロである行政書士が制度の内容と申請方法について解説します。
事業再構築補助金(第12回)の制度とは
事業再構築補助金(第12回)の対象事業者
事業要件
下記のいずれかに該当すること。
- 新市場進出(新規事業の売上高が10%以上になること)
- 事業転換(主要な業種が細から中分類レベルで変わること)
- 業種転換(主要な業種が大分類レベルで変わること)
- 事業再編(補助事業開始後に再編し、上記3種類のいずれかを行うこと)
- 国内回帰(海外での製造拠点を国内に移すこと)
付加価値額要件
申請する枠により異なります。
(成長分野進出枠:通常類型&GX進出類型)
補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 4.0%以上増加 or 従業員一人当たり付加価値額の年率平均 4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
(コロナ回復加速化枠:通常類型&最低賃金類型)
補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加 or 従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。
その他要件
経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った 3~5年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること
成長分野進出枠(通常類型)の追加要件
下記のパターンA or Bのいずれかを満たす必要があります。
パターンA
下記のどちらも満たす必要があります。
- 取組事業が過去10年間 or 今後10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態であること
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
パターンB
- 現在の主たる事業が過去10年間 or 今後10年間で、市場規模が 10%以上縮小する業種・業態に属しており、別の業種・業態の新規事業を実施すること or 地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の 10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、大企業との直接取引額が売上高の 10%以上を占めること
成長分野進出枠(GX進出類型)の追加要件
下記のどちらも満たす必要があります。
- グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組であること
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
コロナ回復加速化枠(通常類型)の追加要件
下記のいずれかを満たす必要があります。
- コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること
- 再生事業者(中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者 or 中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者)であること
物価高騰対策・回復再生応援枠の追加要件
- 2022 年 10 月から 2023 年9月までの間で、3 か月以上最低賃金+50 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いること
事業再構築補助金(第12回)の補助金額と補助率
下記は、中小企業前提で記載しています。
中堅企業は異なりますのでご注意ください。
成長分野進出枠(通常類型)
【従業員数20人以下】100万円~1,500万円(大幅な賃上げで2,000万円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
【従業員数50人以下】100万円~3,000万円(大幅な賃上げで4,000万円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
【従業員数100人以下】100万円~4,000万円(大幅な賃上げで5,000万円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
【従業員数101人以上】100万円~6,000万円(大幅な賃上げで7,000万円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
大規模な賃上げとは、事業終了時点で事業場内最低賃金+45円&給与支給総額+6%を達成していること
成長分野進出枠(GX進出類型)
【従業員数20人以下】100万円~3,000万円(大幅な賃上げで4,000万円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
【従業員数50人以下】100万円~5,000万円(大幅な賃上げで6,000万円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
【従業員数100人以下】100万円~7,000万円(大幅な賃上げで8,000万円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
【従業員数101人以上】100万円~8,000万円(大幅な賃上げで1億円)
補助率:1/2(大規模な賃上げで2/3)
大規模な賃上げとは、事業終了時点で事業場内最低賃金+45円&給与支給総額+6%を達成していること
コロナ回復強化枠(通常類型)
【従業員数5人以下】100万円~1,000万円 補助率:2/3(400万円までは3/4)
【従業員数20人以下】100万円~1,500万円 補助率:2/3(600万円までは3/4)
【従業員数50人以下】100万円~2,000万円 補助率:2/3(800万円までは3/4)
【従業員数51人以上】100万円~3,000万円 補助率:2/3(1,200万円までは3/4)
コロナ回復強化枠(最低賃金類型)
【従業員数5人以下】100万円~500万円 補助率:2/3(コロナ借換保証で3/4)
【従業員数20人以下】100万円~1,000万円 補助率:2/3(コロナ借換保証で3/4)
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円 補助率:2/3(コロナ借換保証で3/4)
コロナ借換保証とは、伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)、コロナ経営改善サポート保証、新型コロナウイルス感染症特別貸付、生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付、新型コロナ対策資本性劣後ローン、生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン、[新型コロナ関連]マル経融資、[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付、[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金が該当します。
事業再構築補助金(第12回)の対象外事業について
下記のものが対象外になります。(あくまで一例です)
- 実施の大半を他社に外注・委託し、企画だけを行う事業
- 不動産賃貸、駐車場経営などの実質的な労働を伴わない事業や資産運用性の高い事業
- 1次産業(農業・林業・漁業)である事業
- 他の補助金と併せて受給する事業
- 公的医療保険・介護保険を活用する事業
- 障害福祉サービス事業
- グループ会社が既に実施している事業を実施するなど、再構築事業の内容が、容易に実施可能である事業
- 事業承継を行った上で事業を実施する場合に、承継以前の各事業者が既に実施している事業を実施するなど、再構築事業の内容が、容易に実施可能である事業
事業再構築補助金(第12回)の補助対象経費について
補助事業に関する経費のみが対象となります。
建物費
- 建物の建設・改修にかかる経費
- 建物の撤去にかかる経費
- 賃貸物件等の原状回復にかかる経費
- 貸工場・貸店舗等への一時移転にかかる経費
建物の新築は、真に必要不可欠であること&代替手段がない場合に限り、認められます。
機械装置・システム構築費
- 機械装置・工具・器具の購入、製作、レンタルにかかる経費
- 専用ソフト・情報システム等の購入、構築、レンタルにかかる経費
- 上記と一緒に行う、改良・修繕、設置、運搬にかかる経費
単価10万円(税抜)以上のものが対象です。
100万円(税抜き)以上のシステム構築費を計上する場合は、実績報告時に、要件定義書(費用見積書を含む) or 開発費用算出資料(作業単価、作業工数及び作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者勤務記録など)を提出する必要があります。
技術導入費
- 知的財産等の導入にかかる経費
専門家経費、外注費の支出先には活用できません。
専門家経費
- 専門家の技術指導や助言にかかる経費
5万円(税抜)/日が上限です。専門家の部類により上限額が異なります。
技術導入費、外注費の支出先には活用できません。
運搬費
- 運搬料、宅配・郵送等にかかる経費
クラウドサービス利用費
- クラウドサービスやWEBプラットフォームの利用にかかる経費
外注費
- 加工や設計、デザイン、検査等の外注にかかる経費
外部に販売・レンタルするための量産品の加工は対象外です。
技術導入費、専門家経費の支出先には活用できません。
知的財産等関連経費
- 特許権等の知的財産権等の取得にかかる弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
広告宣伝・販売促進費
- 広告(パンフレット・動画・写真等)の作成にかかる経費
- 媒体掲載にかかる経費
- 展示会出展、セミナー開催にかかる経費
- 市場調査・営業代行利用・マーケティングツール活用等にかかる経費
補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象外です。
研修費
- 教育訓練や講座受講等にかかる経費
廃業費(成長促進枠:通常類型で、既存事業の完全廃止を行う場合のみ)
- 行政書士や司法書士に依頼するための廃止手続費
- 解体費
- 原状回復費
- リースの解約費
- 移転・移設費用
補助対象経費の半分 or 2,000万円の小さい方が上限額になります。
事業再構築補助金(第12回)の流れについて
事業再構築補助金(第12回)の基本的な事務処理の流れ
応募申請→採択(合格)発表→交付申請→交付決定→契約・納品(実施)・支払→実績報告→補助金入金
事前着手申請を活用する場合の流れ(第10回と第11回で物価高騰対策・回復再生応援枠 or最低賃金枠で不採択となり、第12回でコロナ回復加速化枠(通常類型) or コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請する場合のみ)
事前着手申請→事前着手承認→応募申請→契約・納品(実施)→採択(合格)発表→交付申請→交付決定→支払→実績報告→補助金入金が一例の流れです。
交付決定日までに事前着手申請の承認を受ける必要があります。
契約・納品(実施)・支払は、どこの位置でもOKです!
ただし、令和4年12月2日以降に発生した経費が対象となります。
交付決定前に契約・納品(実施)・支払をしてもいいのが、事業再構築補助金の最大の特徴です。
事業再構築補助金(第12回)の審査について
基本審査
事業計画が以下の内容を満たしているか審査されます。
適格性
- 要件を満たしていること
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上の増加等を達成する取組みであること
- 事業再構築指針に沿った取組みであること
有望度
- 自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの規模を有している or 成長が見込まれる市場であること
- 自社にとって参入可能な事業であること
- 代替製品・サービスを含め、競合は網羅的に調査されていること
- 比較する競合は適切に取捨選択できていること
- 顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準が明らかであること
- 顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準を充足できていること
- 容易に模倣可能なものとなっていないこと
実現可能性
- 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できていること
- 事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当であること
- 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できること
- 金融機関等からの十分な資金の調達が見込めること
- 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力など)を確保出来ていること
- 第三者に過度に依存している事業ではないこと
- 過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないこと
公的補助の必要性
- 川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由があること
- 費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性、事業の継続可能性など)が高いこと
- 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業であること
- ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっていること
- 国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないこと
政策点
- ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資すること
- 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用などを通じて、我が国の経済成長を牽引し得ること
- 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっていること
- ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有していること
- 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できること
加点審査
以下の項目を満たせれば、審査が有利になります。
- 応募申請時において、コロナ借換保証などで既往債務を借り換えていること
- データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行う EBPM の取組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであること
- 応募締切日時点で「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表していること(成長促進枠のみ)
- 中小企業活性化協議会等から支援を受けていること
- 複数の事業者が連携して事業に取り組む場合であって、同じサプライチェーンに属する事業者が連携して申請すること
- 令和 5年度に健康経営優良法人に認定されていること
- 事業実施期間終了後3~5 年で基準以上の賃上げを実施すること(成長促進枠のみ)
- 事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上 or +50円以上とすること(コロナ回復加速化枠:最低賃金類型のみ)
- 応募申請時点で、えるぼしの認定を受けていること
- 応募申請時点で、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
- 応募申請時点で、くるみんの認定を受けていること
- 応募申請時点で、次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
口頭審査(第12回より新設)
一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて行われます。
口頭審査の対象となった場合、事務局から受験日時の予約案内があります。
受験日時の予約案内は、口頭審査の対象となった事業者のうち、電子申請が完了した事業者から随時行われます。
電子申請受付開始後、早期に申請を完了いただいた場合は、優先的に受験日時をお選びいただけます。
申請完了が応募申請締切間際になった場合、お選びいただける日時が限定されることがあります。
事業者が支援者に丸投げして、事業者自身が事業内容を把握していないために、口頭審査が導入されたようです。
事業再構築補助金(第12回)の申請について
事業再構築補助金の公募期間
公募開始:令和6年4月23日(火)
申請受付:現在調整中
応募締切:令和6年7月26日(金)18時
採択発表:令和6年10月下旬~11月上旬
事業再構築補助金の申請方法
事業再構築補助金の申請に必要な書類について
事業計画書
【補助金1,500万円以下】A4サイズで10ページ以内
【補助金1,500万円超え】A4サイズで15ページ以内
以下の事柄を盛り込んでください。
- 補助事業の具体的取組内容
- 将来の展望(事業化に向けて想定している市場&期待される効果)
- 本事業で取得する主な資産
- 収益計画
客観的な審査を実施するため、事業計画書は原本に加えて、事業者名や代表者名などの申請者を特定できる情報をマスキング処理したものを別途、提出が必要です。
認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
融資を受ける場合
金融機関+認定経営等革新機関
自己資金で行う場合
認定経営等革新機関のみ
第11回以前と大きく異なっており、補助金額3,000万円未満でも金融機関による確認書が必要になっています。
直近の確定申告書・法人事業概況説明書
個人事業主の場合は法人税確定申告書の代わりに、青色申告決算書 or 白色申告収支内訳書が必要です。
直近2期分の決算書
以下の書類がある決算書が必要です。
- 貸借契約書
- 損益計算書
- 製造原価報告書
- 販売管理費明細
- 個別注記表
事業財務情報
ミラサポPlusで電子申請サポートの事業財務情報が必要です。
労働者名簿
労働基準法に基づく労働者名簿が必要です。
役員は含みません。
固定資産台帳
補助対象とする機械装置などが、既存事業で使用しているものの置き換えでないことを確認するために使用されます。
第11回以前には求められていなかった書類です。
別途必要な書類
上記は通常必要な書類です。
枠により、追加書類がそれぞれ定められています。
公募要領で必ずご確認ください。
事業再構築補助金(第12回)の申請は、クロスターミナル行政書士事務所まで
専門家の選び方は、下記の記事を参考にしてください。
当事務所でのサポート範囲について
以下のサポートを基本とします。
- 事業計画書作成
- 添付書類の確認
- 申請の入力
- 事業財務情報の入力(オプション対応)
採択後の手続きはオプションとなります。
- 交付申請
- 実績報告
- 事業化報告
全国対応可能です(オンラインサポート)
電子申請のため、オンラインで基本的にやり取りするので、全国対応が可能です。
当事務所への依頼料金について
基本料金
着手金:10万円+消費税(依頼時)
成功報酬:応募申請時の補助金交付申請額の10%+消費税(採択発表時)
オプション
事業財務情報の入力:2万円+消費税(依頼時)
交付申請:10~30万円+消費税(オプション依頼時)
実績報告:15~50万円+消費税(オプション依頼時)
事業化報告:10万円~+消費税(オプション依頼時)
オプションについては、事業計画書作成時に留意点をお伝えするので、遵守いただければ概ね下限価格で対応できる場合が多いです。例えば、支出経費が多い場合、月払い、クレジットカード払い、立替払い等をしている場合に報酬金額が増加します。採択後からのご依頼で、400点以上のデータになった際に上限額をいただきました。
当事務所への依頼方法について
いずれかの方法でお問い合わせください。
公式LINE
Chatwork
お問い合わせフォーム
CONTACT – クロスターミナル行政書士事務所 (xlos-terminal.com)
電話
06-4400-9760
大阪市の本町で補助金・支援金を中心に活動する行政書士事務所
クロスターミナル行政書士事務所:下井